【破船】は難破船から物資を強奪する物語だったが、今回はいわば逆で、江戸時代の商船が嵐によって航行能力を失い、無人島に漂着する物語。
「もう帰れないんじゃないか?、一生このまま孤島で死んでいくのか?」という部分は、以前観た「OPEN WATER」という映画で感じた恐怖を連想させた。
震災による津波の映像とかも見たばかりだし、海って本当に怖いなぁとしみじみ思うのです。
当然、私が同じ状況に置かれたら、あっという間に死んでしまうと思われる。
それは孤独によってか、飢餓によってかは分からないが。
仲間の遺体とかちゃんと葬ってやれるだろうか?
何万羽といる鳥の群れに入っていって、撲殺し、その肉を生で食うとかできるだろうか?
何年間も一人きりで孤独と死の恐怖に怯えながらまともな精神状態を保っていられるだろうか?
食料が豊富にある状況でも栄養失調で死んでいくという場面は、これが現実にあった事件だというのをまざまざと感じさせた。
物語は船を作り出す部分から熱くなってくる。
救助され、取り調べをうけ、やっと国に帰っても仲間の死を告げると遺族からは憎まれるとか。
また、嫁に欲しいと思っていた女性は既に結婚して子供が6人いたとか。
最後はさらっと書かれて終わるが、余生についても知りたいと思ってしまった。