【読んでみた】日本経済 その構造変化をとらえる

Posted by yonezo in 書評 | Leave a comment
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専修大学の公開講座の受付で売っていたので読んでみた。
平易に現在の日本経済の状況を解説しているようだが、まぁ改行が少ないので読みにくいw
読むのに時間がかかってしまった。
そんな事はどうでも良いんだが。

で、内容的にはほぼ「日本経済悲観論」です。
ただ、第3章「現代日本農業の原点を考える」という部分は比較的腑に落ちる内容で、特にTPPに関連する部分の記述。
「世界の食料需給は楽観を許す状態にはない」
「食糧難の時期に、自国民の食糧を犠牲にして、他国に食糧を売ってくれる国はありません。」
については、至極その通りだと思った。まぁ当然なんだけど。
しかし同じ大学の先生には「農業の保護はぐろーばる経済の足枷になるのだー。」とか言ってしまう人がいるので、背筋が凍ります。

あとは第6章「わが国の財政の何が問題なのか」という部分では、いよいよ本題かという内容で、御用学者の本領発揮という感じ。
基本的に現実問題としての危機(主に政府の借金”1000兆円”について)をこれでもかと煽りつつ、各種データで解説という感じ。
データが事実だというのは分かるけど、何か肝心のところを言わないような気がする部分が多いと感じる。

「他の国の景気対策を見ると、公共事業よりも減税で景気対策を行うのが一般的であり、日本のように公共事業を積極的に用いることはありません。」
まず、なんで景気対策の方法を他の国と比較するのかが謎。
日本は狭い国土で山地が多く、傾斜のある土地の割合が多い。また台風や地震も多くて雨が降れば川は増水しやすいし傾斜があるので水の流れが早くなり氾濫しやすい。そのために平野ばかりの国の国土政策とは比較できないほど公共事業としての土木工事の割合が多くなる。
また、地震についてもそうで、世界有数の地震発生率だということは小学生でも知っているのに、ほとんど地震の無い国と同じ対策予算で十分だとでも言うのだろうか?
それ以前に景気対策=減税なんて、誰も思ってないだろと…。

あとは政府借金の部分は、もう何というか…。

「2000年を過ぎたころから、家計部門の(貯蓄率)減少が顕著です。」
グラフを見ると確かにそうなっている。理由は言わずもがなだ。
ただ、それと反対に非金融法人企業の折れ線は右肩上がりだ。要するに家計は苦しくなっているが企業にはお金が貯まっていっているという事。
それはなぜか言わない。

また、しきりに「国債金利が急上昇すると大変な事になる」というのを繰り返していて、
「利払い費用だけで十数兆円規模の歳出増となり~」と書いて消費税増税だけでは賄い切れないと続くのだが、

利払いしたお金はどこに行くんだよ

とツッコミたくなります。

結局、国民に流れ込み、消費に流れればGDPは増えて税収増となるし、貯蓄に回れば金融機関がそれを国債購入にあてるか民間への貸出に回すかで、要するに政府が国債の金利を払ってもそのお金は消えて無くなるわけじゃないだろとw

なんでそこで「利払いが増えると国内で買ってくれなくなるので海外から買ってもらう必要が出てきて結果的に金利を上げざるを得ないから…(無限ループ)」という論理が展開されるのか、私の前頭葉では全く理解できないのだ。

 

とまあ経済学者でも評論家でも経済学専攻の学生でもない、ただの中年オヤジが偉そうに批判しておりますが気分を損なわれたなら何卒ご容赦を。

amazon的な評価をすると「星1個」ってとこでした。

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